FTXの崩壊の影響で91.4%の損失、Multicoin Capitalの投資家への手紙にはどのような情報が含まれているのか？

著者：Tracy Wang、Coindesk
翻訳：PANews

FTXの崩壊の余波はまだ収まっていない。最新の流出した年次投資家レターの内容によると、ヘッジファンドMulticoin Capitalは2022年に91.4%の損失を被った。その主な理由は二つあり、一つは昨年の暗号市場が過度に不安定だったこと、もう一つはFTXの崩壊の「直接的および間接的」な影響を受けたことである。

Multicoin Capitalはレターの中で、「2022年初頭にLUNAと三箭キャピタルの破綻の影響をうまく回避したが、FTXの崩壊を避けることはできなかった。FTXの破産が暗号市場全体に波及するとは思ってもみなかった。2021年の素晴らしいパフォーマンスを経て、2022年のMulticoin Capitalのパフォーマンスはファンド設立以来最悪の年となった」と認めている。

FTXへの誤った賭けが失敗の主因か

Multicoin Capitalは暗号業界で最大規模かつ最も歴史のある投資管理会社の一つであり、非常に賢明な暗号投資管理会社と見なされている。管理パートナーのKyle Samaniは2017年10月にヘッジファンド戦略を開始し、流動性トークンへの投資を目指している。Multicoin Capitalは三つのベンチャーキャピタルファンドも運営しており、破産した取引所FTXにも投資している。

実際、Multicoin Capitalは一部の資産をFTXに預けていただけでなく、誤った賭けを行った。例えば、SolanaのネイティブトークンSOLやSolanaベースの資産Mangoに対して長期的に強気であった。また、FTX.USの株式や大量の未決済デリバティブ契約も保有していた。昨年11月の別の投資家レターでは、Multicoin Capitalはその財務状況を詳細に開示し、約10%の資産がFTXに預けられていること、また大量のFTT、SOL、SRMを保有していることを明らかにしたが、現在これらのトークンの価格は大幅に下落している。

経営陣の意思決定ミスが損失を拡大

実際、FTXの破産のニュースが伝えられた後、Multicoin Capitalのフラッグシップファンドはわずか2週間で資金の半分以上を失い、その時の下落率は55%に達した。この数字には流動性やその他の自己責任の投資は含まれていない。

しかし、FTXとの関係を迅速に断ち切り、資産を減損した他の投資会社と比較すると、Multicoin Capitalは戦略的な意思決定に問題があったようだ。彼らは当時、フラッグシップ製品を迅速に閉鎖したり、自営取引業務に切り替えたりする計画はなかったと主張し、運営とインフラの改善に努め、カウンターパーティリスクを低減することを表明した。

明らかに、この判断には問題があった。その後の出来事は皆が知っている通り、FTXが破産手続きに入ると、Multicoin Capitalが資産を回収する可能性は次第に減少し、最終的には関連資産をゼロに減損することを余儀なくされた。彼らは具体的な減損額を明示していないが、市場の専門家は関連する減損額が8.5億ドルを超える可能性があると考えている。

Multicoin CapitalはFTX崩壊の次の犠牲者になるのか？

「興味深い」のは、Multicoin Capitalの状況は皆が想像するほど悪くないかもしれない。投資家へのレターで開示されたデータによると、ファンドの規模は大幅に縮小したが、設立から2022年までの間、Multicoin Capitalのヘッジファンドは手数料を除いて1376%の増加を記録した。2023年に入ると、暗号市場は一時的な低迷から反発し、今年1月にはファンドが100.9%上昇し、設立から2023年1月までの成長率は2866%に達した。

さらに、Multicoin Capitalの昨年の損失は、FTXに滞留している資産やFTXの影響を直接受けているトークン、例えばFTXのネイティブトークンFTTに起因している。Multicoin Capitalは投資家レターの中で、FTX崩壊の影響を受けた資産のために「サイドポケット」を作成し、これらの資産を主ファンドから切り離したことを明らかにした。これには、FTX取引所に残っている資産（現在破産手続き中）や、FTXから撤退した資産（将来的に法的手続きで回収される可能性がある）が含まれる。

さらに、Multicoin Capitalは現在「カウンターパーティリスクを軽減する」ための新たな措置を講じている。例えば------

• 取引所には48時間の取引をサポートする資産のみを保持する（すべての資産を取引所に預けない）。
• デリバティブポジションのために取引所が保持する担保の数量を減らすために担保管理の方法を調整する。
• より多くの暗号資産の保管業者と協力し、保管リスクをさらに分散させることを目指す。

Multicoin Capitalはその長期戦略に依然として「堅実な姿勢」を保っているが、市場に盲目的に追随することはないと述べている。明らかに、FTXの崩壊事件を経て、現在のMulticoin Capitalは何らかの教訓を得たはずである。